室戸高等学校校長の大宮健吉先生は、高校生たちに、「ものづくり」を知る体験を通して、自分の進路を決めるきっかけのひとつを作ってやりたいとおっしゃる、大の発動機ファン。
学園祭によせて、論語為改編より
「古きを温めて新しきを知れば、もっと師たるべし」
と引用されて語られ、感動いたしました。
(写真下:室戸高等学校校長の大宮健吉先生、津野さん所有のヤンマーHF26馬力)
「古きを温めて新しきを知れば、もっと師たるべし」、この言葉は私達が今、若い世代にもっとも感じてほしいと思っていることです。
どの分野でも、職人は、「ものづくり」の一から十まで自分の手で習得しようと修行をつみ、さらによい「もの」をつくろうと、技術を磨きつづけます。発動機が多くつくられていた時代の鉄工職人も、その「ものづくり」にかける職人魂がとてもつよかったと思います。私がまだ幼いときに見た、小林兄弟鐵工所で働く人たちや、父の様子を想うとき、それをとても感じます。
わたしは、こうして作られた発動機を通して、先人達の残した技術と思いを知り、現代のテクノロジーを理解すれば、人間としても成長し、世の中の進歩と発展に誠実に貢献できるエンジニアが生まれるのではないかと信じています。
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さて、室戸高校の運転会では、この思いが通じたような、光景がありました。中学生と高校生が一生懸命に発動機を調整して、発動機を運転させていました。
中学3年生の藤岡良一君と高校生の中山斉君です。
藤岡君は初めて発動機を手にしたのは、小学3年生で、すでに発動機を100台所有していて、機械が大好きだそうです。小さい頃からお爺ちゃんに連れられて、運転会に参加していたそうで、将来はエンジニアになりたいと、目を輝かして話してくれました。
中山君は、はじめて大宮校長先生が発動機を運転された時に聞いた回転音に心が踊り、以後発動機が大好きになったのだそうで、自分が持っている4台の発動機のうち2台を持って参加してくれました。
本当に、うれしいですね。
(写真下:藤岡良一君と私、ヤンマー縦型発動機)
(写真下:中山斉君と私、クボタBHB3馬力 とタコマエンジンZ 3馬力)
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また、今回の運転会でも、私にとって懐かしい、小林式発動機を見ることができました!
(写真下:「小林鉄工所」製石油発動機3.5馬力、所有者の池田さんと私)
そして、香川県の杉山さん所有の小林兄弟鐵工所製小林式木炭瓦斯(ガス)発生機です。(写真右)
操作している白い服の方は、山本さんといって、当時、小林兄弟鐵工所に勤務され、実際に発動機の製造・組立・試運転に携わっていた方です。今年で78歳になられました。自分の持っている技術がお役に立つならと、小林式木炭瓦斯発生機の運転のため、駆けつけてくださいました。
殆どの発動機の燃料は、石油や灯油、ガソリンですが、これは木炭を燃料にしています。昭和初期、石油不足のため、民間では石油の使用が制限されていた時代に、ガソリンや石油の代わりに、当時日本で多く生産されていた木炭を使用して、より効率よく発動機を動かそうと、小林兄弟鐵工所が開発したものです。この小林式木炭瓦斯発生機は、当時、「農林省補助金付」の性能を誇る製品でした。
現在もこのように良好なガスを発生させて、12馬力発動機を問題なく動かせる、当時の木炭ガス発生機は、日本中でこの一台しか残っていないそうです。
貴重な産業遺産です。
大切に保存し、忠実な整備をしていただいた杉山さん、本当にありがとうございました。
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それから、今回の発動機運転会は、テレビの取材がありました!
私も、インタビューされて、熱き思いを語りました!
たぶん登場すると思いますので(カットされなければ)、みなさま、ぜひ、見てくださいね!
・ RKC高知放送
・ 10月14日(土)5時30分から放送
・ 公園通りのウィークエンドの番組
(写真上:室戸高等学校運転会 参加者全員による記念写真 集まった発動機は約70台)
最後に、この運転会を企画していただきました大宮校長先生に、あらためて感謝いたします。
本当に、ありがとうございました。