2009年 02月 17日
【特集】箱型マグネトーを修理します!その②~KOBASオリジナル 『コイル巻き線機』を利用~
【 KOBAS「コイル巻線機」特集 ~箱型マグネトー修理編~ 】
~「箱型マグネトー」用コイルを巻く・年代物石油発動機~
その② 含侵と乾燥~組み立て
~前回までの連載~
2008年12月に完成したKOBASオリジナル「コイル巻線機」を利用して、これまで、連載・第1弾当工房ミニチュア石油発動機KOBAS用コイル巻き、連載・第2弾年代物・実機の石油発動機の『回転マグネトー』の修理、をご紹介してまいりました。
新連載・第3弾となる今回は、いよいよ、日本製「箱型マグネトー」の修理をご紹介しています。
~含侵~(箱型マグネトー用コイル)
古い「箱型マグネトー」内部のコイル2個を取り出し、新しく巻き直した後、含侵作業にはいります。
含浸作業でコイル内部の空気を抜くと、コイル巻きの際に使用したニスが、完全に浸透する効果が得られます。
しかし、コイルは幾重も巻いてあり、コイル中心部ほど、空気は抜けにくいため、時間をかけて含侵を行います。
(写真下:「箱型マグネトー」用コイルを、耐熱ガラス製真空容器に入れ、含浸を開始。内部圧力は、0.05hPa(ヘクトパスカル)。約9時間かけて、空気を抜いていく。)

(写真下: 含侵を開始した「箱型マグネトー」用コイルから、気泡が出始めた様子。)

~乾燥~(箱型マグネトー用コイル)
「箱型マグネトー」用コイル2個に、約9時間含侵を行った後、乾燥させます。
このとき、わずかでも空気が残っていると不良品となり、恐らくマグネトーは何ヶ月も持ちません。
含侵作業で、完全に空気を抜いた上で、乾燥させることが大切です。そのためにも、コイル巻きの際、コイルを緻密に巻き、さらに空気を遮断するよう絶縁紙を巻くことに、細心の注意が必要です。
(写真下:含侵が終わった「箱型マグネトー」用コイルを、乾燥機で約10時間乾燥させる。)

~抵抗値測定~(箱型マグネトー用コイル)
(写真下:「箱型マグネトー」用コイルの乾燥終了後、組み立て前に抵抗値を測定する。結果は、10Kオームで合格!)

~「箱型マグネトー」の組立て~
いよいよ、完成した新しいコイル2個を、分解した「箱型マグネトー」内に再び収め、組み立てます。
(写真下:青線より左は古い「箱型マグネトー」の分解パーツ、右は新しく完成したコイル、絶縁紙、当社開発の磁石。古い「箱型マグネトー」には磁石が8枚入っていたが、均一な磁気が得られないため、自社で新たに開発した磁石に交換し、組み立てる。)

(写真下:分解し、オーバーホールした古い「箱型マグネトー」の組み立てが完了。「箱型マグネトー」専用の着火テスト機(年代物)にてテスト。この着火テスト機はとても珍しく、「ユンケル発動機」で有名な元『溝口製作所』の方から、平成5年頃に譲り受けたもの。)

~「箱型マグネトー」の点火試験~
最後に、点火試験を行い、「箱型マグネトー」の修理は完了です。
どんな火花が出るでしょう~!
(写真下:NGKプラグにて点火試験。)

(写真下:アメリカ製チャンピオンプラグにて点火試験1。)

(写真下:アメリカ製チャンピオンプラグにて点火試験2。)

これで、古い「箱型マグネトー」は、見事に蘇りました!
石油発動機に取り付ければ、りっぱな現役点火装置として、作動します。
以上で、「箱型マグネトー」の修理について、連載は終了です。
これまでの内容につきまして、ご質問は、お気軽に下記までどうぞ!
◎お問い合わせ◎
担当:森下泰伸まで メールまたは、携帯090-4975-2362へ。
また、次回からは、「回転マグネトー」の変種修理に挑戦します!
順次連載して参りますので、引き続きまして、お楽しみに~!!