船舶用焼玉エンジン復元の紹介

船舶用焼玉エンジン復元の紹介

今回は船舶用焼玉エンジン復元の紹介です。
兵庫県明石市において工場の一角で復元整備することになりました。瀬戸内海に面した港地区、遠方に明石海峡大橋が見えまた古い町並みが残されております。
船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20422533.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20422139.jpg


2021年7月から船舶用焼玉エンジンの復元整備に取り掛かりました。工場の一角の常磐の上で整備します。

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20460163.jpg

(写真下:焼玉エンジンは東京都港区の安全自動車製で単気筒 15馬力 回転数500 ピストン径200 ストローク215 製造年 昭和20年1月。解体前の状態。倉庫に何十年保管されていた物で完全に油が切れている。外観は大きな損傷はないように見える。本体の台は木台で間に合わせに付けて物のようなので鉄材で作り換えることにする。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20480147.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20480912.jpg

(写真下:本体の側面にあるエァーダンパーの動きが悪く、位置ずれも起こしていたため、エァーダンパーを取り外し、シャフトとレバーの摩耗が激しいため作りなおす。エァーダンパーの中央にあるピストンピンへの油の供給部品とパイプが壊れていたため、作り替える。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20502255.jpg

(写真下:ヨークロッカアームのベッカー付け根に、過去に行った溶接の後があるが、外れかかっている状態。鋳物の材質は一度折れたものに後からの溶接はなかなか正確には付けにくい。そこでヨークロッカアーム本体の図面を引いて作り直すこととする。安全自動車工業製の製品で、精巧に出来ている。しかし古いタイプのスエーデンボリンダー製を完全にコピーしたものと思われる。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20532715.jpg

(写真下:プランジャー式燃料ポンプと燃料ノズル。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20543524.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20544107.jpg

(写真下:各部に油を供給する注油器。古い油が少し残っていたが問題ないようである。)


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_20590704.jpg

(写真下:ヘット部分を取り外す。上から順番にノズルを外し、ノズル取り付け台とヘットを取り外す。大きな致命傷は無いようであるが、取り付けナットが、過去に取り付けた際に六角の角が傷ついたようなのでナットを全て取り換えることにした。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21011539.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21012114.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21012403.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21012953.jpg

(写真下:ピストンの入った本体ジャケットには錆があるものの材質を食い込むほどの痛みはなく大丈夫と判断する。給油器からの銅管の痛みがあるので何本かは交換修理する。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21030608.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21031043.jpg

(写真下:これは2サイクルのため、クランクで一時圧縮して、ピストンが下降し、一時圧縮空気がシリンダー内に流れ込むという最初に空気が入るエアーバルブなので、ここにゴミがないように清掃しておかないと空気が漏れることになる。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21052492.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21052942.jpg

(写真下:各パーツ類は外し、給油器からの給油銅管の痛みもあったため、一部取り換える。排気消音機(マフラー)の取り外しをする。外側の穴は冷却水が巡回するようになっている。これによって消音効果もある。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21085352.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21085871.jpg

(写真下:クレーンを使用して、ピストンを引き抜く。油が切れているため、ピストンの頭に油を注ぎながら、ゆっくり引き抜く。その後ライナー本体の取り外しをする。大きな致命傷はないようである。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21104427.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21104984.jpg

(写真下:ピストンのリングも油が切れており、ピストンと一体化していたが、時間をかけて取り除き無事きれいに整備ができた。スプリングのついた部品はピストンピンに入れてあり給油器からのピストンピンにオイル給油部品。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21123637.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21124053.jpg

(写真下:ホイールの付いた下台を木台から外して一度クレーンにて吊り上げて、鉄材で作る台の寸法を計測して台の製作に入る。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21140389.jpg
(写真:組み立て作業に入ります。ピストンリングの清掃にはリングをおらない様に時間をかけて清掃する。ひどい摩耗も無く新品に近いぐらい良い状態。ライナーは少し錆が来ているところをテーパーにて錆を落として組付ける。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21153123.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21153646.jpg

(写真下:ライナー本体を取り付けして、ピストンをクレーンにて差し込む。2サイクルなので前後の向きを間違えない様にゆっくり差し込みして、ロットをクランクに取り付けする。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21164029.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21164382.jpg

(写真下:ピストンを差し込んだところで、各部品を取り付ける前に最初下塗りしてつやのない黒色で塗装してみることにした。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21173750.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21174131.jpg

(写真下:注油器を取り付け、プランジャーポンプも取り付けて、手動にて燃料の噴射状況を確認しておく。ニップル類の取り付けから少しの燃料漏れをなおす。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21184618.jpg

(写真下:ヘット取り付け焼玉部とノズル台ヘット部の各部品を取り付ける。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21193065.jpg


船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21193400.jpg

(写真下:消音器マフラーも取り付ける。各部品の合わせパッキンは新品に取り換える。消音器マフラーも艶消し黒色で塗装しジャケット部のニップルは作り換える。)

船舶用焼玉エンジン復元の紹介_d0079522_21210753.jpg




by kobas2006 | 2021-09-05 21:30 | 船舶用焼玉エンジン復元の紹介

小林喜久子【コバスモデルエンジニアリング代表】元発動機専門メーカーの女性直系子孫が石油発動機エンジン模型を製造販売 


by kobas2006