宇和島水産高校(愛媛県)生徒達の手によって焼玉エンジンが復活! その軌跡をご紹介



         【愛媛新聞に掲載2020.10.25】
宇和島水産高校(愛媛県宇和島市)の生徒達の手によって
 焼玉エンジンが復活!
ーNPO法人「発動機遺産保存研究会」が協力ー

~復活までの軌跡編~

 宇和島水産高校に保存されたいた焼玉エンジンは、

徳島県の山本鐵工所で1957(昭和32)制作された12馬力です。

 宇和海で操業する巻き網漁船の主エンジンとして使用されていました。

 1963(昭和38)に当校に設置されたようですが、

詳細は分からず、その後動いた事実もないようです。

 そして今回、当校海洋工学コース全員が所属する海洋技術研究部の活動で、

3年生の課題研究テーマとして、復元することになりました。

 20174月から取り組みを開始し、20209月に起動を確認、復活を成し遂げました。



 【 焼玉エンジンの歴史 】

 明治39年、スエーデン製注水式焼玉エンジンが輸入されて、

 その後も米国製なども輸入された。

 ただ、当時は焼玉の材質の問題で割れてしまうことがあり、

 また注水式のためシリンダー内部の錆などの

 問題があった。

 大正時代中ごろより、無水式焼玉エンジンが米国やスエーデンなどから輸入されて、

 これらの問題を解決が解決されたため、

 日本国内のメーカーが同じタイプの焼玉エンジンの制作に乗り出した。

 日本国内では1965(昭和40)まで制作していたようである。

 その後性能の良いディゼルに変わっていった。


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(写真下:焼玉エンジンの気になるところは、ホイールが手で回らず非常に重いこと。

 ピストン引き抜き、ピストンとライナー部の接地面がきつくなっている

 この面を修復作業をしなければならない。)


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写真下:一年目、シリンダーのあたりの部分を0.01ぐらいですり込み、
 毎回ゲージにて測定する。2サイクルは、ソーキポート部分が
 長年放置しておくと、材質の問題もあって変形して、

 ピストンがスムーズに動かなくなるため、あたりの部分を削る。

 これには時間がかかってしまいました。)


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(写真下:2年目で本体の台をコンクリートでやり直すなどの作業する。

 当校には天井クレーンが設置してあり、この点は非常に楽だった。

 エンジンを分解・清掃・油圧力試験・冷却水タンク回りと燃料配管

 プランジャポンプをオーバーホールなど

 一部作り直しもある。燃料噴射試験も何度もする。)


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(写真下:生徒さん達でマフラー清掃。ここも冷却水が巡回しているので、

 水漏れのないように錆を落として、ボンドパッキンなどで整備する。)


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(写真下:3年目はコロナウイルスの影響で6月まで出入りできない状況でした。

 7月から最後の仕上げ整備に取り掛かる。

 潤滑油ポンプオーバーホール・燃料噴射弁の再度オーバーホール並び噴射試験・

 冷却水の少し水漏れの修正・重油バーナの修理点検などする。)



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(写真下:8月、再度各部の点検し、焼玉の焼き金を、重油バーナが
 出来てなかったため、とりあえず、プロパンバーナで焼いてみる。
 エアー掛けが出来ておらず、ディゼルエンジンにてベルト掛けで
 回してみる。開始後約10分ほど回す。冷却水の水漏れもなく状態良好。)


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(写真下:復活お披露目会の挨拶の模様。生徒さんたちで、

 本体をつやなしの黒色で塗装し、

 始動用のエアー設備もでき、重油バーナも完成。

 10月に、宇和島市内の協力者などもお世話になった方々をお招きして運転

 お披露目会が行われた。

 試運転では、重油バーナで焼き金を焼きエアー掛け始動させる。)


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作業を通じた生徒さんたちの表情がとてもいいですね。

みなさん、お疲れ様&おめでとう!





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