2010年 06月 10日
愛媛県立今治工業高等学校へ技術サポート 第4回①出張授業(高校生ものづくり人材育成推進事業)2010.6.2.
「高校生ものづくり人材育成推進事業」へ技術サポート
~愛媛県立今治工業高等学校~
第4回出張授業 その①
~メタル製作実習~
昨年度、『平成20年~22年度、文部科学省・経済産業省共同事業「高校生ものづくり人材育成推進事業」』の指定校である、愛媛県立今治工業高等学校(愛媛県今治市河南町)機械科より、技術サポートのご依頼を受け、当工房エンジニア森下泰伸氏が、年代物の石油発動機と、当工房オリジナル模型『KOBAS12馬力』1/4スケール完成品と組立キットを携えて、出向。そして、年代物石油発動機の実機を使用して実習する運びとなりました。
前回、2009年12月28日第3回目出張授業からの続きを、2010年6月2日第4回授業で行いました。その模様をご報告いたします。
昨年度は、クボタAHC石油発動機の実機を完全解体し、その後、設計図がある程度出来上がりました。
今年度のメイン課題は、本体・クランク・マフラー・小物パーツ・などの木型作りと鋳物製造、そして機械加工です。
木型と鋳物は地元の鋳物工場のご協力を頂き進めていき、生徒さん達は、出来あがった鋳物を機械加工していく予定です。
それには、少し日数がかかりますので、まず今回は、クランクの軸受けメタル作りと加工の実習を行いました。
(写真下:メタル材料となる素材「インゴット」。)
メタルは、用途に応じて、インゴット素材を選択します。
その特性は、素材中の錫・アンチモン・銅・亜鉛・ヒ素・銀・鉛等の配合割合によって決まります。
成分含有量により1種から10種あり、その他に特殊合金があります。
軸受けに使用されるホワイトメタルは、耐摩耗性と耐疲労性を有する特質があり、軸とのなじみがよく、焼付きを起こし難いのが特徴です。
石油発動機では、上記写真手前のインゴットを使用しますが、これは錫などが少ないタイプです。
ディゼルでは、錫・アンチモンが入っているタイプを使用します。
手順① メタルを溶かす
(写真下2枚:鉄の鍋に材料を細かく砕いて入れ、バーナで加熱しメタルを溶かす模様。)
(写真下:メタルが解け始めたところ。)
手順② 溶けたメタルを金型へ流し込む
(写真下2枚:溶けたメタルを金型へ流し込む模様。その後15分くらい自然冷却させる。)
実際の軸受けの直径より大きめの金型に流し込みます。
この作業時に気をつけることは、鉄鍋から少しずつゆっくり流し込むことと、メタルの種類にもよりますが温度400度~500度を目安とすることです。
メタルが高温になりすぎるたり、作業の間違えると、出来あがったメタル内が穴だらけになってしまいます。
手順③ 金型からメタルを抜く
(写真下2枚:金型をエアーで冷ますと、メタルが簡単に抜ける。)
手順④ メタル原型の完成
(写真下:金型から取り出し、出来上がったメタル原型。)
これを旋盤で図面通りに加工すれば、メタルの完成です。
メタル原型作りも、何個か作るうちに、生徒さん達はとても上手になりました。
さすがです!
つづきは、その②をお楽しみに~!