~澤藤マグネトーDS-A1マグネトー修理編~

(写真下:コイル解体したところ。長年の劣化でかなり腐食が進んでおり、コイルの銅線の劣化も見られます。)






磁石の軸ローターは、N/Sを着磁しておきます。)



(写真下:コイル解体したところ。長年の劣化でかなり腐食が進んでおり、コイルの銅線の劣化も見られます。)
磁石の軸ローターは、N/Sを着磁しておきます。)
焼玉発動機の思い出
㈱明石発動機工作所顧問 金井 清
2021年10月20日
100年前から明石港の西側、船町、東戎町と呼ばれた地区は焼玉発動機の工場がたくさんできました。大正3年明石の木下鐵工所は全国第2の生産高を記録しました。私の祖父はその木下鐵工所で修行し独立しました。明石発祥の活魚運搬船「明石型生船」や機帆船向けの焼玉発動機を作っていました。明石港に着いた機帆船から修理のため発動機を大八車に載せて工場まで運びオーバーホールをします。完成すると再び機帆船に乗せ換え試運転航海となります、幼かった私は試運転航海に同乗させてもらい明石海峡を淡路島まで心地よい船旅を経験しました。
社内で試運転すると雷鳴のごとく響き渡り近所から苦情が来ていたらしいのです。淡路行の連絡船に乗ってもいつも発動機を眺めていました。昭和36年頃まで作っていましたが以降は産業機械の製作に替えていきました。他の発動機工場はヤンマー、三菱、などの代理店になって行きました。
この度ご縁があり鳥羽商船高等専門学校にあった単気筒15馬力焼玉発動機を譲っていただきレストアすることになりました。もうとっくに焼玉を触れる職人もいなくなり私も幼いころの思い出しかなく、四国から森下様、山本様に来ていただきご指導いただきました。60年ぶりに心地良い音を聞くことができました。明石型生船と共に焼玉発動機は明石の産業遺産なので動態保存して活用できたらと思っています。
プランジャーポンプの付け根に少しの燃料漏れがあり、パイプのニップルを作り直した。噴射状況が良くないのでプランジャポンプのメンテナンスする。)
2021年7月から船舶用焼玉エンジンの復元整備に取り掛かりました。工場の一角の常磐の上で整備します。
(写真下:焼玉エンジンは東京都港区の安全自動車製で単気筒 15馬力 回転数500 ピストン径200 ストローク215 製造年 昭和20年1月。解体前の状態。倉庫に何十年保管されていた物で完全に油が切れている。外観は大きな損傷はないように見える。本体の台は木台で間に合わせに付けて物のようなので鉄材で作り換えることにする。)
(写真下:本体の側面にあるエァーダンパーの動きが悪く、位置ずれも起こしていたため、エァーダンパーを取り外し、シャフトとレバーの摩耗が激しいため作りなおす。エァーダンパーの中央にあるピストンピンへの油の供給部品とパイプが壊れていたため、作り替える。)
(写真下:ヨークロッカアームのベッカー付け根に、過去に行った溶接の後があるが、外れかかっている状態。鋳物の材質は一度折れたものに後からの溶接はなかなか正確には付けにくい。そこでヨークロッカアーム本体の図面を引いて作り直すこととする。安全自動車工業製の製品で、精巧に出来ている。しかし古いタイプのスエーデンボリンダー製を完全にコピーしたものと思われる。)
(写真下:プランジャー式燃料ポンプと燃料ノズル。)
(写真下:各部に油を供給する注油器。古い油が少し残っていたが問題ないようである。)
(写真下:ヘット部分を取り外す。上から順番にノズルを外し、ノズル取り付け台とヘットを取り外す。大きな致命傷は無いようであるが、取り付けナットが、過去に取り付けた際に六角の角が傷ついたようなのでナットを全て取り換えることにした。)
(写真下:ピストンの入った本体ジャケットには錆があるものの材質を食い込むほどの痛みはなく大丈夫と判断する。給油器からの銅管の痛みがあるので何本かは交換修理する。)
(写真下:これは2サイクルのため、クランクで一時圧縮して、ピストンが下降し、一時圧縮空気がシリンダー内に流れ込むという最初に空気が入るエアーバルブなので、ここにゴミがないように清掃しておかないと空気が漏れることになる。)
(写真下:各パーツ類は外し、給油器からの給油銅管の痛みもあったため、一部取り換える。排気消音機(マフラー)の取り外しをする。外側の穴は冷却水が巡回するようになっている。これによって消音効果もある。)
(写真下:クレーンを使用して、ピストンを引き抜く。油が切れているため、ピストンの頭に油を注ぎながら、ゆっくり引き抜く。その後ライナー本体の取り外しをする。大きな致命傷はないようである。)
(写真下:ピストンのリングも油が切れており、ピストンと一体化していたが、時間をかけて取り除き無事きれいに整備ができた。スプリングのついた部品はピストンピンに入れてあり給油器からのピストンピンにオイル給油部品。)
(写真下:ホイールの付いた下台を木台から外して一度クレーンにて吊り上げて、鉄材で作る台の寸法を計測して台の製作に入る。)
(写真下:ライナー本体を取り付けして、ピストンをクレーンにて差し込む。2サイクルなので前後の向きを間違えない様にゆっくり差し込みして、ロットをクランクに取り付けする。)
(写真下:ピストンを差し込んだところで、各部品を取り付ける前に最初下塗りしてつやのない黒色で塗装してみることにした。)
(写真下:注油器を取り付け、プランジャーポンプも取り付けて、手動にて燃料の噴射状況を確認しておく。ニップル類の取り付けから少しの燃料漏れをなおす。)
(写真下:ヘット取り付け焼玉部とノズル台ヘット部の各部品を取り付ける。)
(写真下:消音器マフラーも取り付ける。各部品の合わせパッキンは新品に取り換える。消音器マフラーも艶消し黒色で塗装しジャケット部のニップルは作り換える。)
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